長文ハラスメントの加害者かも!?生成AIで簡潔・失礼のないビジネスメールを書く方法

長文ハラスメントの加害者になっていませんか

前の記事では、長文メールを受け取ってしまったときに、生成AIを使って要約し、「報告・連絡・相談・依頼・提案」に整理する方法を紹介した。

では、自分がメールを送る側の場合はどうだろうか。

当然ながら、自分自身が長文ハラスメントの加害者になってはいけない。

私は、ビジネスメールはとにかく簡潔であるべきだと思っている。

メールを読んでもらうこと自体に価値はない。
メールでは必要な情報を伝え、判断してもらい、行動してもらうことに価値があるからだ。

そのため、自分でメールを書くときは、なるべく短くするようにしている。

誤解を恐れずに言えば、多少ぶっきらぼうなくらいでいいと思っている。

ただし、これをやりすぎると別の問題が出てくる。短くしすぎた結果、

「なんだか冷たいな」
「怒っているのかな」
「ずいぶん上から目線だな」

と相手に感じさせてしまうかもしれない。

長文を防ぐことは大事だが、相手に不快感を与えないことは、それ以上に大事である。

特に顧客や上司、取引先に送るメールなら、失礼にならない敬語も必要だ。

短くする、失礼にならないようにする、適切な敬語を使う、要点を明確にする、期限や依頼事項を漏らさない。
これらを一つ一つ考えながらメールを書くのは、結構時間がかかるし、疲れる作業である。

しかし、今は生成AIがある。

メールの文章を考える仕事こそ、生成AIが大いに役立つ。

目次

短いだけではダメ。丁寧すぎてもダメ

私は長文メールが嫌いなので、自分のメールもかなり削る。

たとえば、

〇〇さん

資料を確認しましたが、指摘事項が反映されていません。
修正後のファイルを共有してください。

山本

私なら、このくらいでも用件としては十分だと思ってしまう。

何をしてほしいのかは明確である。余計な前置きもない。

しかし、受け取った側からすると、少し強く感じるかもしれない。
相手との関係や、それまでのやり取りによっては、「怒っているのかな?」と思われる可能性もある。

そこで生成AIを通す。

簡潔さは維持したまま、相手に不快感を与えないメールに直して。ただし、過度に丁寧にして長文化しないこと

と指示すれば、

〇〇さん

お疲れ様です。
資料を確認しましたが、指摘事項がまだ反映されていないように見受けられます。
お手数ですが、修正後のファイルをご共有いただけますでしょうか。

よろしくお願いいたします。

山本

くらいになる。

これなら十分だろう。

言いたいことは変わっていない。だが、角は取れている。

私は、生成AIをこの「角を取るフィルター」として使うのが非常に有効だと思っている。

「いつもお世話になっております」は本当に必要か?

ビジネスメールを書くとき、ほとんど条件反射のように、

いつもお世話になっております。

と書く人は多い。私も使うことはある。

だが、正直に言えば、この決まり文句もかなり無駄だと思っている。

始めてメールする相手にも、

いつもお世話になっております。

と書く。

いや、まだ一度も世話になっていない(笑)

こうやって、まったく付き合いのない相手にも、機械的に「いつもお世話になっております」と書く。

これは日本のビジネスメールの慣習ではあるが、本当に毎回必要なのだろうか。
もちろん、顧客との関係や社外メールの慣習を考えれば、外さない方がいい場面もある。

しかし、少なくとも社内メールや、頻繁にやり取りしている相手とのメールで、毎回何も考えずに付ける必要はないと思う。

たった一行ではある。
しかし、その一行を書く時間も読む時間もゼロではない。

私は、こうした「昔からそうしているから」という理由だけで残っている文章も、生成AI時代には見直していいと思っている。

必要なら書く。
必要なければ書かない。

その判断基準こそが大事だ。

丁寧すぎる文章も、相手への配慮を欠いている

敬語は必要である。

日本語でビジネスをする以上、相手に失礼のない表現を使うことは大切だ。

しかし、だからといって丁寧であればあるほど良いわけではない。

むしろ、敬語を重ねすぎたバカ丁寧な文章は、いたずらに長くなり、かえって読みにくい。
場合によっては、必要以上にへりくだっているように見え、卑屈な印象すら与えかねない。

たとえば、こんなメールだ。

〇〇株式会社
〇〇様

平素より格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。
先般ご案内させていただきました資料の件につきまして、その後のご確認状況はいかがでございますでしょうか。
ご多忙の折に大変恐縮ではございますが、弊社といたしましては明日の会議にて使用させていただきたく存じますため、誠に勝手なお願いではございますが、可能でございましたら本日17時頃までにご確認のうえご送付いただけますと大変ありがたく存じます。
ご多用のところお手数をお掛けいたしまして誠に申し訳ございませんが、何卒ご理解、ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

……長いし、読みづらい。

言っていることは、

「明日の会議で使うので、資料を今日17時までに送ってほしい」

だけである。

同じ内容なら、

〇〇様

お世話になっております。
先日お願いした資料について、明日の会議で使用するため、本日17時までにご送付いただけますでしょうか。

お手数ですが、よろしくお願いいたします。

これで十分だ。

この文章を読んで、

「なんて失礼な人なんだ!」

と思っただろうか?

たぶん思わない。
むしろこちらの方が、何をお願いされているのかすぐに分かる。

そう、このくらいで丁度いいのだ。

繰り返すが、ビジネスで重視すべきは時間である。
丁寧すぎる文章は、書く時間も読む時間も長くなる。

「相手に不快な思いをさせないために、できるだけ丁寧な文章を書こう」

という考え方は、一見すると相手への配慮に見える。
しかし、その結果として文章が長く、読みにくくなり、相手に余計な時間を使わせているのなら逆効果である。

サラッと書いた方が、頭にスッと入ってくる。

その方が、よほど相手への気遣いになる。
お互いに得になる。

丁寧さを追求することは仕事ではない。相手に伝えることが仕事なのである。

怒っているときこそ、生成AIというフィルター

生成AIが最も役に立つのは、自分が冷静ではないときかもしれない。

  • 何度説明しても直してくれない。
  • 期限までに来るはずの資料が来ない。
  • レビュー指摘したのに、ほとんど修正されていない。

あるいは、散々長文メールを読まされた挙げ句、その内容にも納得がいかない。

そんなときは、誰でも腹が立つ。

そして腹が立っていると、

前にも説明しましたよね。
なぜ修正されていないのでしょうか。
至急対応してください。

くらいは書きたくなる。

しかし、そのまま送信するのは危険だ。

メールは記録に残るし、文章には表情も声色もない。そのため、本人が思っている以上に強い印象を与えることがある。

だから私は、感情が昂ぶっているときのメールほど、一度AIというフィルターを通した方がいいと思っている。

たとえば、こんなプロンプトを使えばいい。

以下は私が作成したビジネスメールです。

私は現在、この件について不満や苛立ちを感じています。
その感情が相手に伝わりすぎないように文章を修正してください。

ただし、こちらの問題意識や要求事項を弱めないでください。

条件:
・簡潔にする
・相手を非難する表現は使わない
・感情的な表現を削除する
・問題点は明確に指摘する
・相手に求めるアクションを明確にする
・期限がある場合は明記する
・適切な敬語を使用する
・過度に丁寧にして長文化しない
・原文にない事実は追加しない

以下がメール本文です。

---
ここにメール本文を貼り付ける
---

ここで重要なのは、

「要求事項を弱めない」

と書いていることである。

AIに単に「優しい文章にして」と頼むと、こちらの主張まで弱くしてしまうことがある。

そうではない。
こちらが言うべきことは言う。

ただし、感情だけを取り除く。

「なんでやってないんだ!」

ではなく、

「○月○日までに、○○を修正して再提出してください」

に変える。

仕事として必要なのは、後者である。

生成AIは、人間の怒りを仕事の言葉へ変換するフィルターとして使える。

メールを書く前に「何のメールなのか」を決める

前の記事では、ビジネスメールの目的を、

報告・連絡・相談・依頼・提案

の5つに分類した。

メールを書くとき、この5つのどれなのかを、最初に決めてしまう。

例えば、「依頼」であれば、相手に伝えるべきことはかなり明確になる。

誰に、何を、いつまでにやってほしいのか。

それが分かればいい。

逆に「報告」なのに、受け取った側が、
「で、私は何をすればいいの?」
と考えなければならないメールは良くない。

報告だけなら、

本メールは状況共有のみです。ご対応いただく事項はありません。

と一言書いておけばいい。

それだけで相手は安心して読める。

AIに質問させれば、メールをゼロから書かなくていい

生成AIを使うなら、そもそも人間がメール本文を最初から書く必要すらない。

AIに必要なことを質問させて、その回答からメールを作らせる方法が実用的だ。

例えば、次のテンプレートを保存しておく。

あなたはビジネスメール作成のアシスタントです。

これから私に質問し、回答を基にビジネスメールを作成してください。

質問は一度にすべて出さず、1問ずつ行ってください。

まず、メールの目的を次の5つから確認してください。

・報告
・連絡
・相談
・依頼
・提案

その後、メール作成に必要な情報を確認してください。

・誰に送るのか
・何についてのメールなのか
・最も伝えたい結論は何か
・相手に何をしてほしいのか
・誰が対応するのか
・期限はいつか
・相手が判断するために必要な背景情報は何か

必要な情報が揃ったらメールを作成してください。

作成ルール:
・件名だけで用件ができるだけ分かるようにする
・本文は必要最小限にする
・結論を先に書く
・長い前置きは書かない
・必要に応じて箇条書きを使う
・相手に求めるアクションを明確にする
・「誰が」「何を」「いつまでに」を明確にする
・相手に不快感を与えない
・相手との関係に適した敬語を使う
・過剰な敬語や冗長な定型句を使わない
・「いつもお世話になっております」などの定型句も、必要性が低ければ省略する
・原文や回答にない事実を追加しない
・情報が不足している場合は、メールを書かず追加質問する

最後に、
「さらに短くできる箇所」
があれば指摘してください。

これなら、

「さて、どう書こうか……」

とWordやOutlookの白紙画面を見ながら悩む必要がない。

AIから聞かれたことに答えるだけでいい。

しかも、「誰が」「何を」「いつまでに」という、仕事で本当に重要な情報の抜け漏れも防ぎやすい。

「短く」と「丁寧に」はAIなら両立できる

人間がメールを推敲していると、よく妙なループに入る。

短くする。
すると少し冷たくなる。
丁寧にする。
すると長くなる。
削る。
すると敬語がおかしくなる。
また直す。
……。

こうして、メール一本を書くのに10分も15分も使ってしまう。

こういう経験は誰にでもあると思うが、実に無駄が多い。

生成AIなら、

30%短くしてください。顧客宛てなので丁寧さは維持してください。ただし過剰な敬語や定型句は使わず、相手への依頼事項は弱めないでください。

と頼めばいい。

数秒で終わる。

生成AIによって一番減らすべきは、文章の体裁を整えるために考えている時間だと思う。

人間が考えるべきは、

  • 何を伝えるのか。
  • 何を判断してほしいのか。
  • 何をしてほしいのか。

である。

敬語の調整や文章の短文化は、AIに任せればいい。

相手によって敬語のレベルもAIに変えさせる

ビジネスメールは、誰に送るかによって文章が変わる。

顧客に送るメールと、毎日話している同僚に送るメールが同じ文体では不自然だ。

だから生成AIには、相手との関係も渡しておく。

たとえば、

顧客の部長宛て。簡潔だが失礼にならない文章にする。

長年一緒に仕事をしている社内メンバー宛て。敬語は使うが、堅苦しくしない。

上司宛て。丁寧にする。ただし、冗長な挨拶や過度なへりくだりは不要。

これだけで、かなり自然な文章になる。

  • 「いただく」と「くださる」のどちらを使うべきか?
  • 「ご確認いただけますでしょうか」はくどいのか?
  • 「お願い申し上げます」まで必要なのか?

こんなことで毎回悩む必要はない。

AIに整えてもらい、最後に自分で読んで違和感がなければ、それでいい。

最後は人間が確認する

もちろん、生成AIが作ったメールをそのまま無条件に送ればいい、という話ではない。

  • AIは日付を間違えるかもしれない。
  • 人名を間違えるかもしれない。
  • こちらの意図を微妙に変えてしまうこともある。

だから、最後は人間が確認する。

ただし、ゼロから文章を作るのと、AIが作ったメールを確認するのとでは、使う時間がまったく違う。

時短になるのは、当然後者だ。

まとめ:AIでメールに使う時間を減らそう

長文メールは、書くのに時間がかかるだけでなく、相手の時間を奪う。

だから、ビジネスメールは簡潔であるべきだ。

しかし、短くすればいいという話でもない。

短すぎて冷たい。
怒っているように見える。
敬語がおかしい。
誰が何をすればいいのか分からない。

これではダメだ。

理想は、短く、分かりやすく、必要事項に抜け漏れがなく、しかも相手に不快感を与えないメールである。

これを人間が毎回一から考えて書くのは面倒だし、時間もかかる。

だったら生成AIにやらせればいい。

人間は、

「何を伝えたいのか」
「相手に何をしてほしいのか」
「期限はいつなのか」

だけを考える。

  • 文章を短くする。
  • 敬語を整える。
  • 余計な「いつもお世話になっております」を外す。
  • バカ丁寧な文章を簡潔にする。
  • 怒りに任せた表現から感情を取り除く。
  • 「誰が・何を・いつまでに」が抜けていないか確認する。

これらはAIの仕事にしてしまえばいい。

丁寧さを追求することは仕事ではない。
メールを書くことも仕事の手段であって目的ではない。

相手に必要なことが伝わり、仕事が前に進めばいいのである。

長文ハラスメントの被害者になったら、AIで要約する。
そして、自分が長文ハラスメントの加害者にならないためにも、AIを使う。

メールを読むときはAI。メールを書くときもAI。

これが、AI時代のメール運用だ。

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