【決定版】BAPI_PO_CREATE1をどこよりも詳しく解説！

BAPI_PO_CREATE1 は、購買発注伝票の登録を行う標準トランザクション ME21, ME21N と同等の機能を持つBAPIである。本記事は、SAPシステムで購買発注伝票の登録を行うプログラムを開発する際に使用される、BAPI_PO_CREATE1 について、おそらく、どこよりも詳しく解説した記事である。
BAPIパラメータの設定方法や、サンプルコードも公開しているので、プログラム開発の参考にしてほしい。

企業の基幹業務において、モノやサービスを購買するプロセスは欠かせない。S/4HANAなどSAPシステムにおいて購買を行うには、購買発注伝票を登録する。購買発注伝票を登録するSAP標準トランザクションコードは ME21, ME21N だが、汎用モジュール／BAPIなら「BAPI_PO_CREATE1」だ。

本記事は、BAPI_PO_CREATE1について、BAPIの概要とメリット、プログラムで実装する際のパラメータにセットする値の解説、さらに、ABAPコードのサンプルなど、どこよりも詳しく解説する。

BAPI_PO_CREATE1の概要

BAPI_PO_CREATE1は、購買発注伝票（Purchase Order）を登録するためのBAPI（汎用モジュール）である。

標準トランザクションコード ME21, ME21N と同等の機能を持つため、購買発注の自動化など、カスタム開発プログラム、いわゆるアドオン開発のために使用される。

BAPI_PO_CREATE1のメリット：ME21Nにはない機能

BAPI_PO_CREATE1は、標準トランザクション ME21, ME21N と同等の処理を実現できるが、標準トランザクションにはない、以下のような機能やメリットがある。

テスト実行

パラメータ「TESTRUN」に値’X’を設定すると、テスト実行を行うことができる。テスト実行では、実際に購買発注伝票を登録することなく、登録時と同じ動作をシミュレーションする。この機能により、購買発注伝票の登録が成功するのか、あるいはエラーになるのかを事前に確認できる。さらに、エラーが発生する場合は、その原因をRETURNパラメータに返されるメッセージを調べることで特定することも可能だ。

まとめてエラーチェック

標準トランザクションでは、エラーチェックはヘッダから明細へと順番に行われ、どこかでエラーが見つかるとその時点で処理が止まってしまう。そのため、明細の数が多い場合、すべてをチェックし終えるまでに時間がかかってしまう。

一方、BAPI_PO_CREATE1 では、1回の呼び出しで全ての明細に対し一括でエラーチェックが行われる。途中でエラーが見つかっても処理は止まらず、すべての明細が検証されるのが特徴だ。しかも、エラーメッセージは明細単位で返ってくるため、どの明細に問題があるのかが一目でわかり、エラーチェックの効率が格段に上がる。

権限チェックの省略

良し悪しは別にして、パラメータ「NO_AUTHORITY」に値’X’を設定すると、権限チェックを省略して購買伝票を登録できる。

トランザクション制御

トランザクション制御が可能となっており、コミット（データの確定）やロールバック（データの取り消し）を明示的に指示できる。たとえば、複数の購買発注を一括登録する際に、すべての発注登録が成功した場合のみ、コミットするようプログラミングできる（一部でもエラーが発生した場合はロールバック）。このように、一貫性のあるデータの登録や更新が可能だ。

BAPI_PO_CREATE1の全パラメータ

以下は、S/4HANA 2023 における、BAPI_PO_CREATE1 の全パラメータの一覧である。

ただし、値の「更新」を指示するパラメータは省略した。値の更新を指示するパラメータとは、「POHEADER」に対する「POHEADERX」など、パラメータと同じ名前で、末尾に’X‘の付いたパラメータのことである。この更新を指示するパラメータの値に’X’を設定すると、同名のパラメータの値が更新される。逆に、’X’を設定しなかった場合、そのパラメータに値を設定しても値は更新されない。

• 背景が青いパラメータは、必須、または使用頻度の高いパラメータ。
• 行数が多いため、アコーディオンブロックになっている。展開・折り畳む時は「▲▼」をクリック。

BAPI_PO_CREATE1の使用方法（パラメータ設定）

BAPI_PO_CREATE1を使用して購買発注を登録するには、パラメータを以下のように設定する。

購買ヘッダ（POHEADER）の設定

標準トランザクション「購買発注登録」の「ヘッダ」に相当するデータを設定する。設定必須のフィールドは以下。

フィールド	設定する値
COMP_CODE （会社コード）	標準トランザクションと同様に「会社コード」。
DOC_TYPE （購買伝票タイプ）	標準トランザクションME21Nの先頭項目である「購買伝票タイプ」と同じ値を設定する。標準購買発注であれば「NB」である。
ITEM_INTVL （明細番号間隔）	購買発注明細を登録するときの、「明細番号」の番号間隔を指定する。10,20,30・・・ように10刻みにしたい場合は「10」と設定する。
VENDER （仕入先勘定コード）	BPマスタ（仕入先マスタ）に登録済みの「仕入先コード」。
PURCH_ORG （購買組織）	標準トランザクションと同様に「購買組織」。
PUR_GROUP （購買グループ）	標準トランザクションと同様に「購買グループ」。
CURRENCY	購買発注するときの通貨コードを設定する。日本円であれば「JPY」。
DOC_DATE （購買伝票日付）	登録する購買発注伝票を、いつ時点のものとするか、日付を設定する。

POHEADERのフィールドに値を設定したら、値の更新を指示するPOHEADERXの、対応するフィールドにも’X‘を設定する。POHEADERXに’X’を設定しなかった場合、POHEADERのフィールドに設定した値は無効となってしまうため、忘れずに設定する。

購買発注を制御するためのパラメータ

以下は必須ではないが、購買発注伝票の登録時の動作を制御するパラメータである。制御を有効にしたい場合、値はいずれも’X‘を設定する。

パラメータ	設定する値
MEMORY_COMPLETE	エラーがない場合に購買発注を保留する。ワークフローなど、承認プロセスによって購買発注を実行する場合、この値を設定する。
MEMORY_UNCOMPLETE	エラーがある場合に購買発注を保留（一時保存）する。購買発注の内容にエラーがある場合、購買を実行することはできない。しかし、入力した値が消えてしまうのはもったいないので、このパラメータを設定するれば、購買発注伝票を保留状態にすることができる。
NO_AUTHORITY	権限チェックを省略する。一度に大量の購買発注を登録する際、権限チェックを省略することでパフォーマンスが向上する。
TESTRUN	購買発注登録をシミュレーションする。この値を設定すると、実際に購買発注を登録することなく、購買発注登録時と同じ動作を確認できるので、登録前のエラーチェックを行うことができる。

購買明細（テーブル）の設定

標準トランザクション「購買発注登録」の「明細」に相当するデータを設定する。購買明細テーブルは、設定するデータのグループ毎に、複数のテーブルに分かれている。以下に示すのは、明細テーブルの中でも使用頻度の高いパラメータ、フィールドである。

なお、設定した値を有効にするには、POHEADERと同様に、値の更新を指示するテーブルの対応するフィールドにも値’X‘を設定する。たとえば、POITEMテーブルのMATERIAL（品目コード）に値を設定したなら、POITEMXテーブルのMATERIALには’X’を設定する。

明細データ（POITEM）

購買明細テーブルの中でもメインとなるテーブル。発注するモノやサービスの品目コード、数量などを設定する。

フィールド	設定する値
PO_ITEM 購買伝票の明細番号	10,20,30（明細番号間隔が10の場合）のように、購買伝票の明細番号を設定する。
SHORT_TEXT （テキスト短）	購買明細に表示されるテキスト。品目コードを指定する場合は省略可能。
MATERIAL 品目コード	品目マスタに登録済みの品目コード。品目コードを指定する購買の場合は設定する。
PLANT プラント	購買したモノ、サービスが納入されるプラント。
STGE_LOC 保管場所	購買したモノ、サービスが納入されるプラント下の保管場所。
MATL_GROUP 品目グループ	設定は必須である。品目マスタの品目グループと異なる品目グループでも設定可能。
QUANTITY 購買発注量	購買発注数量。
PO_UNIT 購買発注数量単位	発注数量の数量単位。購買情報が登録されている場合は省略可能。
NET_PRICE 通貨額	発注金額。
TAX_CODE 消費税コード	消費税コード。
ACCTASSCAT 勘定設定カテゴリ	購買の種類に応じて適切な値を設定する。たとえば、原価センタが費用を負担する経費購買なら’K‘を、固定資産の購買なら’A‘を設定する。 在庫品の購買ならば省略可能。

POACCOUNT（勘定設定項目）

在庫品以外の購買、たとえば備品やサービスを購買する経費購買や、固定資産とするモノの購買の場合に、設定が必要な明細テーブル。勘定コードや費用負担部門（原価センタ）などを設定する。

フィールド	設定する値
PO_ITEM 購買伝票の明細番号	テーブルPOITEMのフィールド「PO_ITEM」の値と一致する値を設定する。
GL_ACCOUNT G/L勘定コード	勘定コードマスタに登録されている勘定コード。
COSTCENTER 原価センタ	購買の費用を負担する原価センタ。経費購買の場合は必須。
ASSET_NO 資産番号	固定資産の購買の場合は、あらかじめ登録しておいた固定資産番号を設定する。
ORDERID 指図番号	製造指図における工程外注の場合、その製造指図番号を設定する。

明細条件（POCOND）

購買の価格条件を設定する。

フィールド	設定する値
ITM_NUMBER 条件明細番号	テーブルPOITEMのフィールド「PO_ITEM」の値と一致する値を設定する。
COND_TYPE 条件タイプ	基本価格（PB00）や割引（RA01）など、適用したい条件の種類を設定する。
COND_VALUE 条件金額	適用する価格や割引の値を設定する。
CURRENCY 通貨コード	条件値の通貨コード。日本円の場合は「JPY」。

納入日程（POSCHEDULE）

購買するモノやサービスを分割納入（分納）する場合、各納入がそれぞれ何時納入されるか、予定の日付や時刻を設定する。

フィールド	設定する値
PO_ITEM 購買伝票の明細番号	テーブルPOITEMのフィールド「PO_ITEM」の値と一致する値を設定する。
SCHED_LINE 納入日程行番号	「納入日程行」における行番号を設定する。購買発注したモノが分割納入される場合、その分納の順に、1,2,3…と設定する。
DELIVERY_DATE 納入日付	分納の場合、その納入回の予定日付。
QUANTITY 計画数量	分割の場合、その納入回の数量。
DELIV_TIME 納入時刻	分納の場合、その納入回の予定日付における予定時刻。

実行結果の確認

購買発注の登録が成功したかどうかは、RETURNテーブルパラメータを確認する。

結果ステータスは、RETURNパラメータの「TYPE」にセットされる。セットされるステータスは以下。

ステータス	意味
W	警告あり
E	エラー
I	通知
A	強制終了

TYPEにステータスがセットされると同時に、メッセージクラスとメッセージ番号がそれぞれ「ID」と「NUMBER」に、メッセージ本文が「MESSAGE」にセットされる。

また、RETUENの値は、購買発注の明細単位に返される。たとえば、明細番号 0010, 0020, 0030 の３明細からなる購買発注の登録において、明細番号に対応するフィールドは「ROW」であり、0020 のROWの値は「2」となる。明細番号 0020 の戻り値フィールドは、それぞれ次のような値が返される。

TYPE	ID	NUMBER	ROW	MESSAGE
I	06	219	2	明細 00020 の正味価格が前回の伝票から採用されました
W	ME	040	2	納入期日に間に合いますか
W	06	028	2	購買発注日が過去日付になっています

戻り値：登録された発注伝票番号

購買発注の登録が成功すると、登録された購買発注伝票の番号がExportの「EXPPURCHASEORDER」にセットされる。

テスト実行の場合、登録成功しても発注伝票番号はセットされない。

トランザクション制御

BAPI_PO_CREATE1はトランザクション制御が必要なBAPIである。つまり、成功時はコミット（BAPI_TRANSACTION_COMMIT）を指示するまでデータベースに書き込みが行われない。逆に、エラー発生時はロールバック（BAPI_TRANSACTION_ROLLBACK）を指示して更新処理を取り消す。

BAPI_PO_CREATE1のサンプルコード

以下は、BAPI_PO_CREATE1 を使用し、購買発注伝票を登録するABAP言語のサンプルコードである。

品目を指定する購買発注のサンプル

DATA: lt_poheader     TYPE bapimepoheader,
      lt_poheaderx    TYPE bapimepoheaderx,
      lt_poitem       TYPE TABLE OF bapimepoitem WITH EMPTY KEY,
      lt_poitemx      TYPE TABLE OF bapimepoitemx WITH EMPTY KEY,
      lt_poschedule   TYPE TABLE OF bapimeposchedule WITH EMPTY KEY,
      lt_poschedulex  TYPE TABLE OF bapimeposchedulex WITH EMPTY KEY,
      lt_return       TYPE TABLE OF bapiret2 WITH EMPTY KEY.

DATA: ls_poitem       TYPE bapimepoitem,
      ls_poitemx      TYPE bapimepoitemx,
      ls_poschedule   TYPE bapimeposchedule,
      ls_poschedulex  TYPE bapimeposchedulex,
      ls_return       TYPE bapiret2.

" ヘッダデータ設定
lt_poheader-po_type      = 'NB'.  " 標準購買発注
lt_poheader-vendor       = '400001'. " 仕入先コード
lt_poheader-doc_type     = 'NB'.
lt_poheader-pur_org      = '4000'. " 購買組織
lt_poheader-pur_group    = '004'. " 購買グループ
lt_poheader-company_code = '4000'. " 会社コード

lt_poheaderx-po_type      = 'X'.
lt_poheaderx-vendor       = 'X'.
lt_poheaderx-doc_type     = 'X'.
lt_poheaderx-pur_org      = 'X'.
lt_poheaderx-pur_group    = 'X'.
lt_poheaderx-company_code = 'X'.

" 明細データ設定（在庫品購買）
ls_poitem-po_item   = '10'.
ls_poitem-material  = 'MAT4001'. " 品目コード
ls_poitem-plant     = '4000'. " プラント
ls_poitem-store_loc = '0040'. " 保管場所
ls_poitem-quantity  = '10'. " 数量
ls_poitem-po_unit   = 'EA'. " 発注単位
ls_poitem-net_price = '500'. " 単価
ls_poitem-currency  = 'JPY'. " 通貨
ls_poitem-tax_code  = 'V1'. " 税コード

ls_poitemx-po_item   = '10'.
ls_poitemx-material  = 'X'.
ls_poitemx-plant     = 'X'.
ls_poitemx-store_loc = 'X'.
ls_poitemx-quantity  = 'X'.
ls_poitemx-po_unit   = 'X'.
ls_poitemx-net_price = 'X'.
ls_poitemx-currency  = 'X'.
ls_poitemx-tax_code  = 'X'.

APPEND ls_poitem TO lt_poitem.
APPEND ls_poitemx TO lt_poitemx.

" 納期設定
ls_poschedule-po_item    = '10'.
ls_poschedule-deliv_date = sy-datum + 7. " 納品予定日
ls_poschedule-quantity   = '10'.
ls_poschedulex-po_item    = '10'.
ls_poschedulex-deliv_date = 'X'.
ls_poschedulex-quantity   = 'X'.

APPEND ls_poschedule TO lt_poschedule.
APPEND ls_poschedulex TO lt_poschedulex.

" BAPI実行
CALL FUNCTION 'BAPI_PO_CREATE1'
  EXPORTING
    poheader     = lt_poheader
    poheaderx    = lt_poheaderx
  TABLES
    return       = lt_return
    poitem       = lt_poitem
    poitemx      = lt_poitemx
    poschedule   = lt_poschedule
    poschedulex  = lt_poschedulex.

" コミット処理
CALL FUNCTION 'BAPI_TRANSACTION_COMMIT'
  EXPORTING
    wait = 'X'.

" 結果確認
LOOP AT lt_return INTO ls_return.
  WRITE: / ls_return-type, ls_return-message.
ENDLOOP.

品目コードを指定しない購買（テキスト購買）のサンプル

DATA: lt_poheader     TYPE bapimepoheader,
      lt_poheaderx    TYPE bapimepoheaderx,
      lt_poitem       TYPE TABLE OF bapimepoitem WITH EMPTY KEY,
      lt_poitemx      TYPE TABLE OF bapimepoitemx WITH EMPTY KEY,
      lt_poaaccount   TYPE TABLE OF bapimepoaccount WITH EMPTY KEY,
      lt_poaaccountx  TYPE TABLE OF bapimepoaccountx WITH EMPTY KEY,
      lt_poschedule   TYPE TABLE OF bapimeposchedule WITH EMPTY KEY,
      lt_poschedulex  TYPE TABLE OF bapimeposchedulex WITH EMPTY KEY,
      lt_return       TYPE TABLE OF bapiret2 WITH EMPTY KEY.

DATA: ls_poitem       TYPE bapimepoitem,
      ls_poitemx      TYPE bapimepoitemx,
      ls_poaaccount   TYPE bapimepoaccount,
      ls_poaaccountx  TYPE bapimepoaccountx,
      ls_poschedule   TYPE bapimeposchedule,
      ls_poschedulex  TYPE bapimeposchedulex,
      ls_return       TYPE bapiret2.

" ヘッダデータ設定
lt_poheader-po_type      = 'NB'.  " 標準購買発注
lt_poheader-vendor       = '500001'. " 仕入先コード
lt_poheader-doc_type     = 'NB'.
lt_poheader-pur_org      = '5000'. " 購買組織
lt_poheader-pur_group    = '005'. " 購買グループ
lt_poheader-company_code = '5000'. " 会社コード

lt_poheaderx-po_type      = 'X'.
lt_poheaderx-vendor       = 'X'.
lt_poheaderx-doc_type     = 'X'.
lt_poheaderx-pur_org      = 'X'.
lt_poheaderx-pur_group    = 'X'.
lt_poheaderx-company_code = 'X'.

" 明細データ設定（テキスト購買）
ls_poitem-po_item   = '10'.
ls_poitem-short_text = 'オフィス備品購入'. " 購買品目のテキスト
ls_poitem-plant     = '5000'. " プラント
ls_poitem-quantity  = '5'. " 数量
ls_poitem-po_unit   = 'EA'. " 発注単位
ls_poitem-net_price = '1000.00'. " 単価
ls_poitem-currency  = 'JPY'. " 通貨
ls_poitem-tax_code  = 'V1'. " 税コード

ls_poitemx-po_item   = '10'.
ls_poitemx-short_text = 'X'.
ls_poitemx-plant     = 'X'.
ls_poitemx-quantity  = 'X'.
ls_poitemx-po_unit   = 'X'.
ls_poitemx-net_price = 'X'.
ls_poitemx-currency  = 'X'.
ls_poitemx-tax_code  = 'X'.

APPEND ls_poitem TO lt_poitem.
APPEND ls_poitemx TO lt_poitemx.

" 原価センタ情報設定
ls_poaaccount-po_item     = '10'.
ls_poaaccount-gl_account  = '500000'. " 勘定コード
ls_poaaccount-costcenter  = 'C5000'. " 原価センタ
ls_poaaccountx-po_item    = '10'.
ls_poaaccountx-gl_account = 'X'.
ls_poaaccountx-costcenter = 'X'.

APPEND ls_poaaccount TO lt_poaaccount.
APPEND ls_poaaccountx TO lt_poaaccountx.

" BAPI実行
CALL FUNCTION 'BAPI_PO_CREATE1'
  EXPORTING
    poheader     = lt_poheader
    poheaderx    = lt_poheaderx
  TABLES
    return       = lt_return
    poitem       = lt_poitem
    poitemx      = lt_poitemx
    poaccount    = lt_poaaccount
    poaccountx   = lt_poaaccountx.

" コミット処理
CALL FUNCTION 'BAPI_TRANSACTION_COMMIT'
  EXPORTING
    wait = 'X'.

" 結果確認
LOOP AT lt_return INTO ls_return.
  WRITE: / ls_return-type, ls_return-message.
ENDLOOP.

BAPI_PO_CREATE1とセットで使われるBAPI

BAPI_PO_CREATE1 とセットで使われるBAPIには、以下のようなものがある。

1. BAPI_PO_CHANGE

既存の購買発注を変更するためのBAPI。購買発注のヘッダ情報や明細情報を更新できる。T-CODE: ME22, ME22Nに相当する機能を提供する。

• 用途： 購買発注番号を指定し、価格、数量、納期、条件、テキストなどの情報を変更する。必要に応じて、特定の明細だけを更新することも可能だが、値を設定しないパラメータはNULLクリアされてしまう。NULLクリアを防ぐため、次の BAPI_PO_GETDETAIL を呼び出して、変更対象の購買発注明細のデータを取得し、各パラメータに値をセットする。

2. BAPI_PO_GETDETAIL

購買発注に関連する詳細情報を取得するためのBAPI。購買発注の基本情報だけでなく、明細や仕入先、納期情報など、関連するデータを網羅的に取得できる。T-CODE: ME23Nに相当する機能を提供する。

• 用途： 購買発注番号を指定し、その購買発注に紐づくヘッダ情報や明細情報、条件、テキスト、アカウント割当などを取得する。購買プロセス全体のデータ確認や外部システムとの連携に利用可能。

3. BAPI_GOODSMVT_CREATE

購買発注に対する入庫処理を行うBAPI。購買発注入庫だけでなく、あらゆる在庫の入出庫を実行できる汎用性の高いBAPIなので、利用するシーンは多彩。T-CODE: MIGOに相当する機能を提供する。

• 用途： 購買発注番号を指定し、移動タイプ101などによる入庫処理を行う。入庫数量や、発注明細番号を指定することで発注伝票の一部を入庫することも可能。

BAPI_GOODSMVT_CREATE について、詳しく解説した記事は以下。おそらく、どこよりも BAPI_GOODSMVT_CREATE について詳しく解説した内容となっているはずだ。

4. BAPI_INCOMINGINVOICE_CREATE

請求書照合、すなわち仕入先からの請求書を登録するためのBAPI。購買発注に基づく請求書登録だけでなく、あらゆる仕入先請求書処理に対応できる汎用性の高いBAPIである。T-CODE: MIROに相当する機能を提供する。

• 用途： 購買発注番号や仕入先情報を指定し、請求書ヘッダおよび明細のデータを登録する。請求書番号、日付、税金情報なども含めて柔軟に指定可能であり、複数明細を含む複雑な請求書も処理できる。

まとめ：標準トランザクションを超えるBAPI_PO_CREATE1

BAPI_PO_CREATE1は、T-CODE: ME21、ME21Nと同等の発注登録処理をプログラムから実行できるだけでなく、標準トランザクションを超えるメリットを備えている。たとえば、テスト実行やトランザクション制御（コミット、ロールバック）、さらには全明細に対するエラーチェックの一括実施などが可能である。

そのため、ABAPを用いたアドオン開発では頻繁に活用されるほか、EDIなど購買発注の自動化ソリューションを構築する際にも欠かせないBAPIである。BAPI_PO_CREATE1を適切に理解し、活用することで、購買業務の効率化やシステム連携を実現できるであろう。本記事が、その一助となれば幸いである。

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登録した購買発注データを、Excelマクロを使って手軽に表示したいなら、以下の記事を参考にしてほしい。Excelマクロファイルも公開中だ。

T-CODEに対応するBAPIを探しているなら、以下の記事から見つけられるかもしれない。